41杯目 わさびをどうしても食べたくない人のための小ワザ10選
カランコロン‥‥スナック「朝井」へようこそ。41杯目のお読み物をお届けします。
【本日のおしながき】
・お知らせなど
・本日のおつまみ
・原作とドラマ
・ウニが好きだけどわさびが嫌いブルース
・七光りについて考える
・シメのラーメン
◆お知らせなど
まだどこにも載せていないのですが、こっそり先行でお知らせです。
青森で本屋「TSUNDOKU BOOKS」をやっている友人ナガミネさんと一緒に、ちょっとちゃんと番組名を決めて週一でラジオをやろうという話になって、先日録ってきました!
番組ページはこちら。公開前なので、まだアイコンのイラストすらないです(作成中)。
12月4日から、毎週水曜日17時に更新予定なので、ぜひチェックしてください!
「TSUNDOKU BOOKS」さんは面白い書店で、月の前半しか営業しない・毎月手作業で棚を変える・買い切りで本を仕入れている(つまり「TSUNDOKU BOOKS」が売らないとそのまま店の赤字になる)、というやり方で、もともと想定していたよりも3倍くらい売上が好調らしい。編集者から本屋に転身して、本を売ることについて思うこと(本とのこと)や、日々生きる上での正直な思考(本当のこと)などを話していくチャンネルになります。
stand.fmのアプリがあったほうが聞きやすいですが、なくても聞けるはず…。ゆくゆくはお便りコーナーとかファンアート募集とかもやりたい。
◆本日のおつまみ
久しぶりにグッとくるおつまみを発見しました。「おだしの香るさきいか」(ヤマキ)。これ、以前も何度か話したことのある、うちの近所のセブンイレブンにだけ置いてあるんです。それも、前にこの回で話した、めちゃめちゃウマい缶詰が置いてあったあたりに。なんなんだろう、あのセブンイレブンのあのエリア。定期的に異様においしいおつまみが置かれるのだけど、決まって棚の一番下の目立たない場所に置かれるんです。こんなのしゃがんで目をこらさないと見つけられないよ、っていう場所に。セブンイレブンの仕入れ担当が、人に知られたくない絶品つまみを見つけるたびにこっそり置いて、余ったら自分が確保しようとしているとしか思えない。それに、「おだしの香るさきいか」を他のコンビニで見たことがありません。いつもどこから見つけてくるのか、掘り出し物みたいなのを定期的に仕入れている店員が誰なのかが気になってしょうがないです。いつ行っても8割くらいの確率でレジにいる眼鏡をかけた七三分けのおじさんなんじゃないかとひそかに思っているけど、確かめようがないため、真相が明らかになることはありません。
で、だ。「おだしの香るさきいか」がなぜおいしいのかという話ですが、名前の通りお出汁がしっかりと染み込んでいるからです。その染み込んでいるお出汁が、ちゃんとお出汁の味で、薬品っぽくない。私、基本的にイカがわりと好きで、小学生の頃から塾帰りにイカそうめんやあたりめを嗜んでいたのですが、さきいかに関してはどうも苦手と感じる味が多く。だいたいどのさきいかも、薬品っぽい匂いや味があるんですよね。無添加オーガニック系の店でさきいかを食べたときは、その薬品っぽさは感じなかったから、おそらく添加物とかそういう系の発する匂いなはず。イカそうめんやあたりめよりも噛みやすくて好きなのに、さきいか特有の味付けの独特の匂いで、イカ本来の旨味を隠されてしまう感じが惜しかった。「おだしの香るさきいか」は、その従来のさきいかに抱いていた欠点が一切ない! これが私の求めていた究極のさきいかだ! と一人で盛り上がっているのですが、あまりにもどこのコンビニにも置いていないので、たぶんこのさきいかに誰も気づいていない。気づいているのは、私と、あのセブンイレブンのおじさん店員だけ。仕入れているのがあのおじさんかどうか、知らんけど。
◆原作とドラマ
最近、山田孝之&綾瀬はるかバージョンの白夜行を今さら観ました。その前は勇者ヨシヒコを観ていたので、今月は山田孝之の顔ばっかり観ていた。というか、ヨシヒコを全シリーズ観たからこそ、おすすめ欄に白夜行が上がってきた可能性が高い。今、私のU-NEXTは、私のことを山田孝之がものすごく好きな人として認識していると思う。と思って今U-NEXTを開いてみたら、案の定トップページに「俳優 山田孝之の話題作品」というコーナーができていた。さらには、「“25時のオトコ”深夜ドラマの帝王・山田孝之」というコーナーもあった。山田孝之、勧めすぎだろ。こんなことで勘違いしてしまうとは、あわれなりU-NEXT。
さて、白夜行を観てまず思ったのは、
え………? これって金八先生だっけ???
でした。
亮司と雪穂を捜査して追いつめていく笹垣刑事の役を武田鉄矢さんがやっているのですが、ドラマでのオリジナルのキャラ付けとして、『歎異抄』の一節を毎回つぶやくんですよ。
金八先生じゃん。
いや、金八先生は別に『歎異抄』を一節をつぶやいてはいないと思うけど、これってあれでしょ、ざっくり言えば「人という字は~~~」系のジャンルでしょ。仮に「金八先生がシリーズ3の第6話で『歎異抄』を黒板に書いて生徒に泣きながら説教してたシーン、よかったよね」って言われたら、だいたいの人がそういうシーンがあったんだなと信じるでしょ? ちなみにこの『歎異抄』の一節をつぶやくの、噂によると武田鉄矢自身のアドリブから始まったとかなんとか(それ何情報? ネットです)。
最後のほうで、亮司が笹垣を毒殺しようと笹垣の留守中に忍び込んで、笹垣の捜査ノートを見つけるんですよ。そのノートは、笹垣は小さい頃から亮司と雪穂のことを気にかけてきて、誰も彼らの悪事に気づかなかった中でたった一人10年も20年も追い続けてきた証だった。そのノートを泣きながら読む亮司。毒殺をやめる亮司。さらには、亮司を走って追いかけて泣きながら抱きしめて説教する笹垣。
金八先生じゃん。
白夜行は原作がだいぶ好きだからこそ、なんとなく観ないようにしていたんですよね。主人公の亮司と雪穂が、山田孝之と綾瀬はるかなのか……?という疑問も渦巻き続けていて、気になりつつも避けていたのもある。結論から言うと、まったくの別物としてとても面白かったです。
小説の白夜行って、はっきりと書かれていないところを想像してゾッとするところが一番面白い部分だと思うんですよ。幼馴染の亮司と雪穂は、客観的に見れば大人になってからは全く関わっていない他人のはずで、生きる世界が違う、ように見える。なのに、不可解な事件が起こったときに、決まって二人の痕跡が残っている。それぞれの視点を読み進めるうちに、このときに亮司が持っていたこれは、雪穂が使ったあれと同じものっぽい! とか、亮司がこれをできたのって、雪穂がこれをやったからでは……? とかが、薄っすらとわかってきて、背筋が凍るんですよね。ただし、小説の中では二人が会話するシーンは一切出てきません。どんなやり取りが行われてその出来事が起こったのかは、読者の想像の中にしかない。ドラマは、そこの部分にスポットを当てているので、いかに大胆なことをしているかがわかります。
この表現の仕方って、下手すると原作ファンをまるごと敵に回しかねない。読者それぞれの頭の中にある亮司と雪穂のことをはっきりと描いてしまうわけだから、解釈不一致と思われれはいけない重荷を背負いながらのドラマ化です。亮司と雪穂の二人のやり取りをはっきりと描いてしまうならば、幼少期から大人になるまで、悪人でありながらも愛される人物に見えなければならないので、脚本と役者と演出の力にうなりました。ちゃんとやり切っていた。すごかった。
「白夜行」は、続編とまことしやかに言われている「幻夜」と比較されることも多く、「白夜行」は人間味があって温かくて、「幻夜」に出てくるのはただ冷酷な犯罪者、みたいな言われ方をよくしているんです。個人的には、そこまで言うほどの差があるか……? と思ってはいたのですが、ドラマを観てわかりました。確かにドラマを観ると、そういう人間味・温かみを込めて描かれているし、逆に言うと、私は「白夜行」の原作を読んだときに亮司と雪穂をもう少し冷酷な人物像として頭で描いていたのだとも思いました。
だから、ドラマはもはや原作の二次創作と言ってもいいくらい、表現の仕方が違ったわけですが、これが一つの正解であり、釈の都合で改変する必要が出てくるならば、これくらい変えてしまっていいのかもしれません。原作をベースに改変したドラマにおける、正解の頂点が白夜行だと思いました。
◆ウニが好きだけどわさびが嫌いブルース
ウニが好き・わさびが嫌い、の二つの属性を持つ私にとって、ウニを使ったおつまみを食べるときには注意が必要である。ウニにわさびを合わせたがる料理人は多い。オレンジ色に緑色が載っている姿は実に鮮やかで美しい。味についても、ウニの濃厚クリーミーな部分と、わさびのサッパリした辛みが合うというのは想像にかたくない。両極端の味を口の中で合わせるのは、「おいしい」を表現する代表格なことくらい私にもわかる。
でも、どうしてもわさびが嫌いな私は、